2025年11月17日
先日開催した「組織活性化ウェビナー」、多くの皆様にご参加いただき誠にありがとうございました。
今回のテーマは、どの会社にも避けて通れない “離職・心理的安全性・エンゲージメント” の3つを紐づけて理解し、明日からの一歩につなげることでした。
結論から言うと、組織が停滞する理由は単体ではありません。
すべてが連鎖し、知らぬ間に「人が辞めやすい状態」をつくり出してしまっています。
ウェビナーで取り上げた内容を振り返りながら、組織の“どこ”を見直すべきか、整理してまとめました。
■1. 離職の本当の原因は「3層構造」で見える
ウェビナーでも紹介したように、離職理由は表層・中層・深層に分かれます。

●表層(給与・残業・処遇・勤務地など)
一番語られやすいけど、一番“本音から遠い”。
●中層(上司との関係、チーム、人間関係、仕事量)
「辞めるきっかけ」になりやすい領域。
●深層(成長実感・キャリア・会社への誇り)
本当の決定打になる“内的動機”。
本人も自覚できていないことも多い部分です。
実は、会社が把握している離職理由の多くが「表層」。
本当の改善ポイントは“深層”に潜んでいるケースがとても多いです。
■2. 心理的安全性は「4つの安心」で決まる
Googleの研究でも裏付けされている通り、
心理的安全性が低いチームは生産性も離職率も大きく悪化します。
心理的安全性を構成する「4つの安心」をご紹介します。

① 失敗の安心
ミスしても人格否定されない
② 発言の安心
意見・提案が“否定前提”で扱われない
③ 役割の安心
自分の役割が明確で、必要とされている感がある
④ 関係の安心
仲間に恵まれているという実感
この4つが揃うと人の行動量は圧倒的に増えます。
逆に1つ欠けるだけで、委縮や対立が増え、やがて離職につながります。
■3. エンゲージメントを決めるのは「会社・上司・個人の3つの約束」
エンゲージメント(貢献意欲)を高めるためには、
JDRモデル(負荷と資源) や 自己決定理論(3つの基本欲求) の視点が欠かせません。

特に重要なのが、以下の“3つの約束”。
●会社の約束
ビジョン・ミッション
人事制度や昇給・評価の透明性
キャリアを描ける仕組み
●上司の約束
日々の対話
フィードバック
期待の可視化
個人の強みを理解する姿勢
●個人の約束
自分のキャリアへの意志
目標設定
行動へのコミット
この3つが揃ったとき、
組織は“安定ゾーン”から“成長ゾーン”へ移行します。
■4. 組織が止まる会社と動く会社の決定的な違い
ウェビナーでは「成功循環モデル」も紹介しました。

【バッドモデル】
結果 → 問題視 → 指摘 → 関係悪化 → 行動低下 → さらに結果悪化
【グッドモデル】
関係の質 → 思考の質 → 行動の質 → 結果の質 → 関係の質が強化
ポイントは、
組織は“関係の質”から始まる。
結果から改善しようとする企業はうまくいきません。
■5. 明日からできる「3つの一歩」

最も効果的なアクションは↓
① 退職理由を3層で見直す
→ 表面だけで判断しない
② 1on1・ミス対応の“ひと言”を変える
→ 「なんでこうした?」ではなく
「教えてくれてありがとう。背景教えて?」に変える
③ エンゲージメントの“資源”を1つ増やす
→ 役割を明確化する
→ 成長の機会をつくる
→ チームで成功体験を共有する
■まとめ
離職・心理的安全性・エンゲージメントは、
どれか一つを変えるだけでは十分ではありません。
大切なのは、
3つを“ひとつながりの要素”として捉え、
現場でできる小さな改善を積み重ねていくことです。
その積み重ねが、
働く人の安心や挑戦、成長を支え、
組織の未来をつくっていきます。
今回の内容を踏まえた自社向けのアセスメントや育成施策のご相談も承っておりますので、
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