2015年9月14日
企業が成長するためには、人材の育成が必須です。
弊社では過去3,500社以上、5万人を超える方に研修サービスをご提供してきましたが、今回は現場で実際にあった事例や研修内容を一部ご紹介します。
意外とできていない「OJT指導」の事例
OJTは有効な指導法ですが、先ず5W1H +目標設定からスタートすることが欠かせぬポイントです。当たり前のことと思われるかと思いますが、過去の経験から振りかえると、案外できていないケースが目立ちます。
・まず見てもらっています
・現場でやりながら覚えてもらいます
・実践が一番です
このような言葉を何度も聞いてきましたが、これでは残念ながら、OJTとは言いません。
「ほったらかし」と言ったほうがいいかもしれません。
OJTで指導するのは
○知識(ノウレッジ)と
○技術(スキル)と
○心構え(マインド)
この三点ですが、それぞれに
●いつまでに
●誰が(誰に)
●どこで
●何を
●何のために
●どのようなスキルを身につけて欲しいか
これらをまず指導者が考え、受講者に共有し、目標設定に対してPDCAサイクルを回す事、そして受講者が自分の立ち位置(レベル)を理解し、やりがいや、時には喜びや悔しさを感じながら成長することがOJT指導のポイントなのです。
OJTで本当に問われているのは指導者のレベルです。
「仕事が出来ない」と相手を評価する前に、先ず自分の指導がどうだったか振り返る必要があると思います。
受講者から見える「OJT指導」の実態
アパレルショップ店員を対象に養成研修を実施させて頂いた際の事例です。
受講者の方は「OJT(現場指導)」でしか、仕事を教わってこなかったという事なので、今回の研修内で、どんな風に教わったかを伺ったところ、多くの意見として「先輩の背中を見て・・」「その場で・・・」そんな言葉が返ってきました。
このエピソードから見えるのが「場当たり的な指導」=OJTという風潮です。
「計画的/継続的」
この二つのKはOJTに欠かせない要素なのですが、その要素を組み込んだOJTが出来ている事業所が少ない事は否めません。
OJTの定義とは
「企業内で行われる職業指導手法のひとつで、職場の上司や先輩(時には外部インストラクター)が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを、目的をもって、計画的・継続的に指導し、修得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成するすべての活動」です。
つまり、「計画的・継続的」でないものは、本来のOJTではないのです。
また、その行動は 「○○を身に付けさせる」というキャリア目的を
目的を持って行わなければ意味がないのです。
OJTのポイントは以下の4つと言われています。
1.やる気をもたせる
2.達成力をつけさせる
3.役割意識を持たせる
4.目標達成力をもたせる
この中の一つ、「やる気をもたせる」為に必要なのは、自分たちは今、何のためにこれを学んでいるのか?この先には何があるのか?「先を見せる」ことです。
しかしこちらも案外、出来ていないことが多いかも知れません。
それは何故かというと、指導者自身が 正しい「OJT」を受けていないからです。
上段でOJTに本当に問われているのは指導者のレベルと記載しましたが、その為には正しいOJT研修が非常に重要です。
「身だしなみ」から取り組む研修事例
接遇の研修を20年やっていない、とある施設にモニタリングへ伺った際の事例です。
実際の営業を拝見して見えてきたのが
・片手でお金を渡す
・お客様が近寄ってこられる走る人
・お客様に対して「○○ちゃん」と呼ぶ
・接客時に笑顔がなく「完全に真顔」
中でも印象として残った点が、「女性のチョロリ前髪」でした。フェイスラインを隠したいのか、まとめる際に少しずつ残すあのヘアスタイル。眉毛も頬周りも隠れて、なんとなくカラーレスで隠すつもりが、悪目立ちさせるお顔がとても暗く見えました。
CS五原則のなかで、身だしなみを整える。
これは一番簡単なことです!
10年前、とある大手ファミリーレストランでまず取り組んだのが、
「耳を出す」こと
少しボディラインの強調されるエプロンと相まって本当に印象が良くなりました。お客様から誉められるスタッフが増えました。制服スタイルが可愛いとバイト募集しやすくなりました。
新入社員向け「ビジネスマナー研修」の事例
新入社員14名に対してのとあるビジネスマナーの研修内容の事例です。
ビジネスマナーもあまり耳慣れない言葉などに四苦八苦しながら、一生懸命取り組んでくださいました。
「表情」
「挨拶」
「身だしなみ」
「話し方」
「仕草(態度)」
CS5原則を中心にコミュニケーションの取り方まで演習を多く取り入れ、たくさん話し合って頂く時間をとりました。その中で彼らが「改めて難しいと気づきました!」と言っていたのが、意識の移動トレーニングです。
<<聴く3つのレベル>>
一番ハイレベルの 「相手・自分・周囲などあらゆるものに意識を向けながら 話を聴く」
テクニックを身に付けるために、親指を利用します。
4人1グループ(3人でも構いません)で、「好きなもの(本人たちが話したい事・話しやすい事が大事)」をテーマに 10分間のフリートークをしていただきます。その際に 意識を向けている相手に親指を上げた握り拳をつくっておき、その相手に親指を向けるというものです。
これをすると、例えば 「おやっ、同じ人ばかりずっと話している」「実は聴いているようで聴いていない」「4人で話しているはずが2人で対話になっている」
気づけば親指の動きがおろそかになっている等々、我々普段話をしている時がどれだけ 「無意識」で話しているかに気づくことが出来ます。
より気持ちの良いコミュニケーションを取ろうと思えば必要なのは「マイペース」ではなく「ユアペース」。意識をしっかりと相手に向けて、周りに向けて、先を読みながら、どんな話す・聴くことをすれば相手と良い関係を築けるかが見えてきます。
学生のうちは「マイペース」が中心だった彼らが働くことは「ユアペース」。先輩が、お客様が、会社が、社会が求めていることに自分を合わせていくことが求められるそう気づいてくれたのではないかと思います。
学校と社会では大きく環境が変わり、社会で求められている事が分からない為に、戸惑っている新入社員を多くいらっしゃいます。それゆえに新入社員研修に当たっては、相手のレベルに合わせて、気付きを促す事が非常に重要です。
意外とできていない「目標管理」
「コールセンター立ち上げ」の研修をさせて頂いた際の事例です。研修としてお伝えさせて頂いたポイントが下記の5点です。
- 1一つ一つのコールで目的を明確にする
2ターゲットごとに伝えるメリットを変える
3言葉の選び方やトークスクリプトを考える
4ファーストアプローチの笑声
5滑舌よく、聞き取りやすい話し方 等々など、
大切なポイントはたくさんあるのですが、研修を通じて気になった点として「目標管理の甘さ・意識の低さ」が非常に印象に残りました。
研修範囲外ではありましたが、トライアルとして1ヶ月前よりスタートをされているとの事だったので、実際に帳票を拝見させて頂きました。目標に対して、行動目標はあるものの、経過に対する指標が無かったり、どうやって達成率を出しているかわかりづらいのです。
帳票には毎日のコールの件数や取れている件数も明示されていますが、目標に対しての経過を確認されていない状況でした。先方は経過の管理をされている認識でしたが、これでは目標管理しているとは言えません。
「PDCAサイクル」の重要性
言い古された言葉ですが、この言葉の重要性を改めて感じました。
目標(具体的な)に対して、行動(目標)を決める。やってみての経過を適切なタイミングで行う。その結果、更に残り日数(ここでは月次目標と仮定)を基に具体的に考えたうえで、やっていた行動を改善する。
これを徹底しなければいけません。
案外できていない組織は多いのかもしれません。
とある事例で「積み上げ方式」で数字を管理していたリーダーがいらっしゃった際に
「あと4日で●●ってどうされるのですか?」と聞いたところ、「気合。」と言われました。
もちろん「気合」という根性論も大事な事ではありますが、やはりもう少し「数字による行動管理」を意識せねばと思います。
「積み上げ方式」で達成する目標は運やまぐれかもしれません。
チェックとアクトしっかりしたいものですね。
まとめ
日々、様々な企業様へ研修に伺わせて頂く中で、印象に残ったエピソードをご紹介させて頂きましたがいかがでしたでしょうか?
OJT研修、新入社員向けビジネスマナー研修、営業向け接遇研修、コールセンター立ち上げ研修など、研修内容は異なるものの、事例を通じて共通して見えてくる点があります。
それは、出来ているつもりの事が実はできていない、そしてその点に気付かれていない企業様が意外と多いという事実です。
理想としては認識されているものの、現場への周知徹底や管理など、仕組み化のノウハウが不足していたり、第三者のチェックができていないという事に言い換えられるかもしれません。
弊社では、様々な業種や企業様毎に異なる課題解決を通じて、多くのノウハウを蓄積しております。是非この機会にご相談されてみてはいかがでしょうか?