2022年7月21日
これからの日本のインバウンド
今、日本は世界から「行きたい国」として大きな注目を集めています。世界経済フォーラムは2022年5月24日、世界117の国と地域の観光競争力をランキングした「Travel & Tourism Development Index 2021」を発表しました。
この調査は各国の観光資源の豊富さや観光インフラの整備レベル、そしてそれらの持続可能性を複数の国際機関の調査から数値化し、ランキングにしたものです。この調査の最新版では諸外国を抑え、日本が初めて1位を獲得しました。日本固有の観光資源の豊富さや、交通・宿泊の観光インフラの利便性などが特に高く評価されています。
コロナ感染症をきっかけに激減した外国人観光客に対し、なかなか増加のイメージは持てないかもしれません。しかし、感染状況が改善していることなどから、日本政府は外国人観光客の受け入れを2022年6月10日に再開しました。これを前に1万人に制限していた1日あたりの入国者数を緩和し、1日から2万人に倍増させました。あわせて空港での検疫も大幅に緩和され、成田空港では簡素化した手続きで入国できるようになりました。
さらに、続く円安は外国人観光客(インバウンド)にとって「日本を訪れる理由」として大きな魅力となっています。今後、想定されるインバウンドの増加は、地域経済にとっても大きな意味があり、私たちは感染予防対策を最大限にしながら円滑な訪日観光の再開や、その後の受け入れ拡大につなげていく必要があります。
とはいえ、現場ではそもそも外国人と接する機会が一気に減ってしまい、接し方がわからない。ここ数年で社員やメンバーが変わってしまい、現メンバーでは言葉が通じないなど不安に思っている方は多くいます。コロナ前とウィズコロナの今、インバウンドが求めていることは何なのでしょう?変わらないことと変わったこと。インバウンドに来てほしければ、何を意識すべきか。また、実際に来た際にはどう接する必要があるのか。ここで改めてみていきましょう。
外国人観光客のニーズを知る
まず意識したいのは、外国人観光客が何を「ニーズ」としてもっているのか?です。
国や地域、世代など様々に多様化するニーズの中から3点ご紹介しましょう。
ご自身に合うものを見つけ、ぜひ取り組んでみませんか。
1.日本の食文化
参照:https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h25/h25_h/trend/part1/chap0/c0_1_00.html
四季折々の豊かな食材を生かす「和食」 2013年の世界文化遺産登録を経て、より本格的な和食を楽しみたいというニーズは非常に高くなっています。また、日本では和食のみならず世界各国の料理を高いクオリティで楽しむことができるといわれています。
2.自然、景勝地、絶景スポット
日本列島は北から南まで全国に絶景スポットが点在しています。日本人にとっては当たり前の景色が、外国人にとっては珍しい風景であったり、特別な印象であることは多くあります。外国人目線を踏まえて、SNS(InstagramやFacebook、TikTokなど)等を活用し、しっかりとアピールされている施設や地域も増え続けています。
3.リーズナブルで品質の良い製品(購入体験)
訪日外国人の消費額の実に34%強が買い物代を示しており、外国人観光客が日本で買い物を楽しみたいという強い意向が伝わります。百貨店やドラッグストアといった大手商店のみならず、地元の小さな商店やスーパー、100均ショップなど幅広く可能性があります。
また先述の通り、円安はさらにショッピングに対して好影響をあたえるといえるでしょう。
参照:https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001345781.pdf
(コロナ前:2019年調査結果)
取り組みたいインバウンド対応
コロナ前に主軸となっていた客数をKPIにおいた取り組みは既に過去のものになっています。今後は獲得したいお客様をいかにとりこむか、ターゲットを見据えたタビマエ・タビナカ・タビアトのコミュニケーションがより重要となっていくでしょう。こちらでは「ヒト」のコミュニケーションに焦点を当てて、2点意識したいことをお伝えします。
①積極的な応対姿勢(苦手意識の克服)
訪日外国人観光客に対する「困りごとのアンケート」において、もっとも課題となっている事の一つが「施設などのスタッフとコミュニケーションがとれない」というものです。
残念ながら語学ができないということ以上に逃げられる。目をそらされるといったコミュニケーションそのものを避けているといった印象を与えているようです。
まず、話をする際は、相手の目を見て話しましょう。慣れない言語で話しかけられると、苦手意識から無意識に顔を背けてしまうこともあると思います。しかしその結果、相手には不誠実だという悪い印象を与えることになるのです。ひと言目は「いらっしゃいませ」と日本語、かつ笑顔で十分です。笑顔で挨拶することは接客の基本。これは世界共通です。自然な笑顔で接して、日本に来てよかったと思ってもらえるようにしましょう。
②異文化を理解する
日本を訪れるインバウンド上位5か国は、コロナ前10年ほぼ変わりませんでした。中国・香港・台湾・アメリカ・韓国などその国の文化に興味をもちませんか。相手を知ろうとするのは、コミュニケーションを豊かにするきっかけです。
例えばレジの列への割り込み、出された食事を残す、公共交通機関内での大きな声での会話など日本人からすると当然マナー違反だという行いが、文化、習慣、価値観の違う外国人にとって、それがマナー違反だということがわかりません。知らずに注意してしまうと、トラブルになり、お客様に不快な思いをさせてしまうかもしれません。
他にも日本人は、肯定の意味で「はい」と答える他、「話を聞いている」という意味でも「はい」と答えます。外国人が使う英語の「YES」は、肯定の意味しかなく、相槌をうつ感覚で「YES」は使用しません。結果として、日本人の受け答えは曖昧だというように外国人は感じてしまうこともあります。
ウィズコロナの今、せっかく日本に来てくれたインバウンドに気持ちよく過ごしていただくために「郷に入れば郷に従え」だけでは物足りませんね。たとえばよく使うフレーズは覚える努力をしたり、また口頭でなくても英語、中国語などで記載した注意書きを壁に貼ったり、言語ごとのメニューを作ったりして、できるだけ日本の文化に合わせてもらえるよう、工夫し、お互いに気持ち良い環境をつくることができればいいですね。
インバウンド対応に当たっては、言語の壁や異文化理解など、意識的に学ばないと習得できない点も多い為、ノウハウを持った外部の研修サービスを利用するのがお勧めです。
当社では、プロトコルをはじめ世界中でおもてなしをしてきた、実務経験豊富な一流講師陣をそろえており、様々な業種のお客様で、現状や課題に合わせたオリジナルのインバウンド環境整備プログラムを手掛けております。
ぜひこの機会に一度、これからの方針について見直されてみてはいかがでしょうか?
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